狂犬病予防接種のはなし

狂犬病とは、どんな病気かをご存知ですか?
日本は狂犬病清浄国となって久しいのであまり身近ではありませんが、
ほぼ全ての哺乳類が感染し、人も動物も発症すると ほぼ100%亡くなってしまう病気で、
世界中にまん延している、大変恐ろしい病気です。

感染している動物に咬まれると、
唾液に混じってウイルスが体内に侵入します。
そして無症状の時期を経て、いったん発症すると、
人の場合、けいれんやマヒ、高熱などの後に、呼吸障害などで亡くなります。
(人の場合に限っては、咬まれてから速やかに 『暴露後ワクチン接種』 をすることで、発症にいたらず死を免れることができます。 ただし、発症してしまうと治療法はありません。)

わんちゃんの場合、狂犬病に感染すると、もともとの性格とは無関係に、
極度に興奮し攻撃的になって他の人や動物を咬み、新たな感染源になってしまう『狂騒型』
あるいは、下半身から上半身にマヒが広がっていく『麻痺型』
のどちらかの症状を示した後に、死亡してしまいます。

(獣医師は、獣医学の授業で発症した動物の姿を学びますが、
私は学生当時、自分の飼い犬が狂犬病にかかってしまう悪夢を見て、
号泣しながら眼を覚ましたのを覚えています・・・。)

そんな恐ろしい病気『狂犬病』ですが、
ビックリするほど世界中で発生しています。

冒頭にのせた世界地図が、狂犬病の地図です。

ピンク色と赤色の国が、「狂犬病が発生している地域」
青色の国が、「狂犬病が発生していない地域」
です。
いかがですか???
狂犬病清浄国って、本当に少ないんです。

日本が狂犬病清浄国でいられるのは、
島国という地理的条件に加え、水際でのたゆまぬ防御、そしてワクチン接種の賜物です。

しかし・・・
実は近年、日本のわんちゃんたちの狂犬病ワクチン接種率が低下しています。

それはつまり、日本を取り囲むたくさんの国から狂犬病を持つ動物が1頭でも入ってきてしまったら、
日本中に、瞬く間に広まってしまうということなのです。

こういった現状を受け、

飼い犬の登録をされていない犬や、
狂犬病の予防接種を受けていない犬、
鑑札や注射済票を装着していない犬は、捕獲や抑留の対象となること、

飼い犬を登録していない所有者や、
飼い犬に予防接種を受けさせていない所有者、
飼い犬に鑑札や注射済票を装着していない所有者は、20万円以下の罰金の対象となることが、

『狂犬病予防法』に定められています。


お隣の島国 台湾は、ずっと狂犬病清浄国でしたが、今年、感染動物が確認され
『狂犬病発生地域』となりました。

日本も他人事ではありません。いつ発生してもおかしくないのです。

皆様、自分達そして動物達を守るためにも、
年1回の狂犬病ワクチン接種を  よろしくお願い致します。



望月 里美

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