工夫で乗り切る夏ばて対策

 今年の夏は本当に蒸し暑かった!早朝5時の散歩でもすでに外気は湿度たっぷり!飼い主ともどもワンちゃんたちもグッタリといった様子でしたね。人間は全身で発汗、それを気化させることで体内に蓄積した熱を放散しますが、湿度が高いと、その働きが困難になります。体温調節を肺換気に頼るしかない犬や猫はさぞ体力消耗が激しいことでしょう。下痢や嘔吐、食欲不振はこの時期よく聞く話です。では、どうしたらこのような時期や環境を乗り越えることが出来るのか考えて見ましょう。

 環境の変化を乗り切るには何といっても食事と睡眠。この二つが支障をきたすと、とたんに体力が低下し、抵抗力も衰えてきます。まずは湿度をコントロールした涼しい環境でゆっくりと十分に休養を取ることは飼い主同様大切です。但し、長毛種、短毛種、小型犬、大型犬、ダブルコート、シングルコートなど多様な身体条件で適温が異なること、また冷房が嫌いな場合もあるので、あくまでも各動物の状態を観察し適温や適した環境づくりを心がけましょう。

 さて、次は「食事」です。身体を十分にやすめてもエネルギーがしっかり供給できなければ、失った体力を回復することができません。夏に食欲が減退する大きな理由の一つとして「食前の水分摂取」があります。特に散歩の後に食事をする場合は、体内の熱を冷ますためにどうしても水を飲んだり、氷を食べたりしますよね。適量ならば問題は無いと思いますが、大量に飲んだ場合は次の2点を覚えておきましょう。まずは、「胃」という食物を入れる袋が「水」で満たされている状態になっているということです。胃は、適量の食べ物が入った状態を脳に知らせ、摂食をコントロールするようにできています。よって許容量を超えると「吐く」結果となります。特に胃が小さな小型犬種に気をつけてください。もうひとつの問題は「胃液」が水で薄まってしまうことです。胃液の中には塩酸と蛋白質を分解するためのペプシンと消化酵素があります。塩酸は食べ物の消化だけではなく、抗菌作用やミネラルの吸収を促す作用などもあります。また動物性蛋白質を中心とした犬の食事では、十分な濃度の胃酸の中で蛋白質が消化されることが、胃からでた食物がしっかりと栄養として吸収され、身体全体にエネルギーを供給してくれるのです。よって、いくら吐くことなく、食べていても、十分な消化ができなければ折角食べた食事は、便として排泄されてしまいます。これでは失った体力を回復するのに必要なエネルギーを取り込むことができません。では、どうしたらよいのでしょうか?

 一つは「食事の時間をずらす」ことです。具体的には、散歩から帰ってきて、水分補給をしたときに、朝食にあたる食事から少しだけ食事を与え、それから30分〜1時間後に、残りをいつものように与えます。ドッグフードの場合は、フードの一部を、手作り食の場合はお肉を少しだけ、のようにすると空腹をしのぐことができます。

 また、夏野菜は水分、ミネラルやビタミンの供給源として利用できますが、食物繊維が多いと食べ物が胃の中に長く留まるため、与えるならば、食事直前に大量には止めましょう。おやつなど間食に利用した方が、腹持ち効果もあるので良いでしょう。

 飼い主様の生活パターンにより可能な工夫は異なります。出来ることは何かを考え愛犬の夏ばてを防ぎましょうね。もちろん飼い主様もですよ!

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