私は動物専門学校で栄養学を教えていますが、その授業中にある生徒がした質問が、今回のテーマを考えるきっかけとなりました。
それは、栄養の消化吸収についての授業でした。小腸や大腸の働き、食物繊維と栄養吸収率や便との関係について一通り説明をすると、「先生、テレビの宣伝で『このフードを食べるとウンチの量が少なくなります』っていっていますが、それはいったいどのようなことを意味しているのですか?」これは大変良い質問です。みなさんはこの宣伝が視聴者の方に伝えたいのはどのようなことだと考えますか?
実はこの宣伝の真意を理解し、そのフードの良さを認めるには基本的な「栄養とその体内代謝」についての知識が必要です。いったい一般視聴者はどのくらいの割合でこの宣伝の真意を理解しているかと思いました。そこでその意味を考えて見ましょう。
まず、この宣伝では「ウンチの量が少なくなること」は「良いこと」だといっているのは分かりますよね。では、ウンチの量が少なくなるとなぜ身体に良いのでしょうか?みなさん「ウンチ」ってなんだか考えたことはありますか?生きていくということは「必要な物質を取り入れ、不必要な物質を排泄する」という営みの繰り返しです。身体に取り込む必用な物質で最も分かりやすいのが「食べ物」ですね。そうすると、身体から排泄する不必要な物質は「ウンチ」ということになります。もちろん身体の中から外に出される物質、たとえば汗や尿、そして目やになどの分泌物の中にも不必要な物質が含まれています。しかし、「消化器官」から排泄される不必要な物質は「ウンチ」です。いいかえれば「かす」ともいえますね。食物中に含まれる「栄養素」は小腸から吸収され、吸収されなかった食べ物の部分、つまり「かす」は大腸を通って便中に排泄されるという仕組みです。
では、なぜ食物の中には吸収される栄養素と排泄される栄養素があるのでしょうか?それは、食物は身体に取り込まれたら、吸収に必用な大きさにまで「分解」されなくてはならないのです。これが「消化」という作業です。では、人や犬または猫の身体では消化できない栄養素は何なのか?それが「食物繊維」です。「便秘のときはサツマイモやごぼうなど繊維の多いものを食べなさい」と母親から教わりましたよね。そう、「ウンチ」のもと、それは「食物繊維」なのです。
さあ、ここで考えてみましょう。見た目は同じペットフードAとBがあります。Aには栄養として体内に吸収できる栄養素が90%、残りの10%は食物繊維です。逆にBは吸収できる部分が10%、90%は食物繊維です。どちらのフードが宣伝文句にあるように「ウンチの量が少ない」フードでしょうか?そう、Aのフードですよね。さらに、消化吸収率というのは「栄養素の質」にも関係します。たとえば「肉」も「革靴の皮」もタンパク質ですが、栄養吸収率が高いのはどちらですか?もちろん「肉」ですよね。
つまり、この宣伝は「ウンチが少なくなる」ことを直接的に言いたいのではなくて、「このフードは良質な栄養素で構成され、消化吸収率が高い」ということを伝えたいのです。そして、その証拠が「ウンチの量」ということになります。
ただ、その量は他のフードを食べたときと比較しないと分からないので、どのくらいが多いのか少ないのかが分からない飼い主様が殆どだという現実があるので、なんとも微妙な宣伝文句でありますよね。
それは、栄養の消化吸収についての授業でした。小腸や大腸の働き、食物繊維と栄養吸収率や便との関係について一通り説明をすると、「先生、テレビの宣伝で『このフードを食べるとウンチの量が少なくなります』っていっていますが、それはいったいどのようなことを意味しているのですか?」これは大変良い質問です。みなさんはこの宣伝が視聴者の方に伝えたいのはどのようなことだと考えますか?
実はこの宣伝の真意を理解し、そのフードの良さを認めるには基本的な「栄養とその体内代謝」についての知識が必要です。いったい一般視聴者はどのくらいの割合でこの宣伝の真意を理解しているかと思いました。そこでその意味を考えて見ましょう。
まず、この宣伝では「ウンチの量が少なくなること」は「良いこと」だといっているのは分かりますよね。では、ウンチの量が少なくなるとなぜ身体に良いのでしょうか?みなさん「ウンチ」ってなんだか考えたことはありますか?生きていくということは「必要な物質を取り入れ、不必要な物質を排泄する」という営みの繰り返しです。身体に取り込む必用な物質で最も分かりやすいのが「食べ物」ですね。そうすると、身体から排泄する不必要な物質は「ウンチ」ということになります。もちろん身体の中から外に出される物質、たとえば汗や尿、そして目やになどの分泌物の中にも不必要な物質が含まれています。しかし、「消化器官」から排泄される不必要な物質は「ウンチ」です。いいかえれば「かす」ともいえますね。食物中に含まれる「栄養素」は小腸から吸収され、吸収されなかった食べ物の部分、つまり「かす」は大腸を通って便中に排泄されるという仕組みです。
では、なぜ食物の中には吸収される栄養素と排泄される栄養素があるのでしょうか?それは、食物は身体に取り込まれたら、吸収に必用な大きさにまで「分解」されなくてはならないのです。これが「消化」という作業です。では、人や犬または猫の身体では消化できない栄養素は何なのか?それが「食物繊維」です。「便秘のときはサツマイモやごぼうなど繊維の多いものを食べなさい」と母親から教わりましたよね。そう、「ウンチ」のもと、それは「食物繊維」なのです。
さあ、ここで考えてみましょう。見た目は同じペットフードAとBがあります。Aには栄養として体内に吸収できる栄養素が90%、残りの10%は食物繊維です。逆にBは吸収できる部分が10%、90%は食物繊維です。どちらのフードが宣伝文句にあるように「ウンチの量が少ない」フードでしょうか?そう、Aのフードですよね。さらに、消化吸収率というのは「栄養素の質」にも関係します。たとえば「肉」も「革靴の皮」もタンパク質ですが、栄養吸収率が高いのはどちらですか?もちろん「肉」ですよね。
つまり、この宣伝は「ウンチが少なくなる」ことを直接的に言いたいのではなくて、「このフードは良質な栄養素で構成され、消化吸収率が高い」ということを伝えたいのです。そして、その証拠が「ウンチの量」ということになります。
ただ、その量は他のフードを食べたときと比較しないと分からないので、どのくらいが多いのか少ないのかが分からない飼い主様が殆どだという現実があるので、なんとも微妙な宣伝文句でありますよね。