食物繊維の不思議

 日本古来の食生活はごく普通の食事をしていれば穀類や野菜から自然と必要な食物繊維が取れていました。しかし現代では「野菜を食べなければいけない」あるいは「野菜を沢山食べれば健康でいられる」などのような強制観念にも近い意識になるほど食の西洋化が進んでしまったようです。そのせいか、多くの飼い主様はペットにも多くの野菜を与える傾向があります。さらに、人単品ではなく、色々と組み合わせるため量的にもかなり多くなっていることがよくあります。「人にも沢山の野菜が必用なんだからペットも同じはず」という考えが実は大きなトラブルの原因になることがあります。さらに、「食物繊維が少ないと便秘をするのに、増やしたら下痢をした」「食事をあげているのに太れない」などなど食物繊維がからんだ不思議は沢山あります。良かれと思いペットにしていたことが、実は彼らの健康を害していたなんてことにならないようにするには、やはりそのもの自体、つまり野菜や食物繊維について理解することが大切です。

≪食物繊維とは?≫

 食物繊維とは、呼んで字のごとく「食物に含まれる線維」つまり「スジスジ」とした部分ですね。一般的に「野菜類」を想像しますよね。しかし重さあたりの食物繊維の量を比較したときに、その量が多いのは玄米などの外殻つきの穀類や豆類です。たとえばキャベツ100gの中には食物繊維が1.8gなのに対して、みなさんがよく使う「おから」(大豆のしぼりかす)には100g中に10g前後も食物繊維が含まれています。さらに同じ野菜でもインゲンのような豆類では約13g含まれています。一般的に「見た目の量」が多いと繊維も多いのではと錯覚しているようですが、実は「水分がどのくらい含まれているか」を考えないと、ものすごく多くの食物繊維を食事に混ぜていることになります。

 食物繊維は他の栄養素のように消化酵素によって消化されませんが、水に溶ける性質があるので、それにより「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられます。食物繊維を含む食品には両方の線維が含まれていますが、どちらが多いかで特徴や働きが異なります。例えばお味噌汁を作るときに「きのこ」や「わかめ」を煮すぎるとドロドロしてきますよね。これが「水溶性食物繊維」の特徴です。どろどろとするため腸内を通過する時間が遅いため腹持ちがよいと感じます。またことで栄養の吸収が遅くなるため、糖尿病またはダイエットなどのように糖を急に吸収したくない場合に利用されます。一方で、ごぼうやにんじんのように繊維の多い野菜を沢山食べると「沢山のウンチがスムーズに」出てきますよね。便量を増やし、便通を良くするのが「不溶性線維」の大きな特徴です。腸というのは食べ物を先に先に送るため、芋虫のような筋肉運動(蠕動運動)をしています。そして不溶性食物繊維が腸にたどり着くと、張り切って仕事をするのです。

 よって、食物繊維源は野菜だけではないこと、水溶性と不溶性では働きがことなることを理解して下さい。皆さんのペットは「不溶性食物繊維」の食べすぎで便が多くありませんか?せっかくの栄養も便と一緒に身体の外に排泄してしまわないように気をつめましょうね。

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