太り始めたと感じたら…「飼い主チェック」

 今年の冬はとにかく寒い!! 我が家では、皮下脂肪の薄い飼い主の私と、シングルコートの愛犬マメタロウが「寒いねー、寒いねー」を連発しているのを横目に、皮下脂肪が厚い上に厚着をしている母は、「寒くないわよー」とそ知らぬ顔。二人で暖房器具にへばりついている今日この頃です。
 身体は寒さを感じると、体温を上昇させようと働きます。そのため、寒い季節はその他の季節よりも多めに食べてエネルギーを供給する必要があります。しかし、一方で、寒いと血行が悪くなるため基礎代謝が衰えます。というわけで、どうしても「太りやすく」なります。そう、冬は身体も「貯める季節」なのですね。

 「太る」ということは摂取エネルギーの方が利用エネルギーよりも多い場合に生じます。そうとは知りながら、おいしいものの誘惑に勝てない人間! 太りかけは「あっ、ウエストが太い! ダイエット、ダイエット」と気にするのですが、いざ太りきってしまうと「まっ、いいっか〜」などと開き直るのも人間の性。まあ、ストレス社会で生きている人間にとって一番手っ取り早いストレス解決法は食べること。しかも手っ取り早く食べられ、かつ、お腹と心を満たしてくれる食べものの多くは「炭水化物+脂肪」でできています。炭水化物は直接のエネルギー源ですが、過剰に摂取すれば脂肪として蓄積、さらに脂肪をとるのでダブル効果で身体に脂肪を貯めてしまいます。そして結果からだが重くなれば、エネルギーを利用し代謝を促進する効果のある運動も億劫に..という悪循環が。

 心当たりのある飼い主様、あなたの愛犬の体型はいかがですか? 多くの場合、飼い主の食に対する意識と食性が、犬の食餌やおやつに比例しています。「まっ、いいか〜」タイプの飼い主様はペットフードの与え方も大雑把。ペットの食べっぷりをみながら適当にざくっとカップにすくって与えていることが多いようです。
  また、「やっぱご飯を食べなきゃお腹がおさまらないわよね〜」タイプの飼い主様は、「沢山食べる=満足」的な発想があるため、犬にも多く与えがちです。さらに、そういったタイプの飼い主様が「早食い」の犬種を飼っていたりすると、太るのは早い!! なぜならば、満腹中枢はペットフードが胃液を十分に吸って膨らんでから感じるため、がつがつと早食いしてしまうコは、必要量食べていてもすぐには満足できなく、いつまでもお皿をぺろぺろ舐めていたりします。それをみた「腹十部目タイプ」の飼い主様は「あら、たりないのね」とばかりに、またフードをあげてしまいます。
  一方で、「栄養はバランスよく、色々な食べ物から少しずつとらなきゃね」と考えている本人はスマート、しかし栄養の知識が表面的だったりする飼い主様の場合、チーズ、野菜、魚など様々な材料で作られた多種類のおやつを少しずつあげる傾向があります。この「少しづつ」が曲者です。まず、多様な材料で作られてるとはいえ、クッキーなど他の形にされている場合、主原材料はやはり炭水化物だからです。色々な食べものをあげているつもりでも、実はぜーんぶ炭水化物だったりします。さらに、魚なら魚そのものが乾燥しているようなおやつの場合ですが、もし、水分を含んだもとの形だったらどのくらいの大きさになると思いますか?見た目の量と胃液を吸ったときの量は大違い。やっぱりエネルギーの過剰摂取をさせている傾向があります。

 つまり、愛犬が太り始めたなと感じたら、まずは「自分チェック」をして下さい。愛犬の一日に必要なエネルギー量と現在1日に与えているフードとのエネルギー量、与えているおやつのエネルギー量を計算し、過剰に与えすぎていないかをチェック。そして、改めて一日に必用なフードの量とそのエネルギー量の約10%にあたるおやつがどのくらいの量なのかを再確認しましょう。
  しかし、愛犬が空腹に泣いているのは飼い主としてみるに忍びないものです。その場合はこんな工夫をしてみましょう。早食いのコは、フードを十分にふやかしてから、中までつぶし広めのお皿に広げてあげることで、食べるスピードを落とします。この方法は最初から水分が加わっているため、時間がたってから満腹感を感じるのを防ぎ、かつ消化にも良いので減量にも効果的です。また、現在食べているフードが高品質な蛋白質で構成されておらず、多くの炭水化物で構成されていると、細胞が常に満たされない状態になるため、必要量の蛋白質を取るために沢山たべていることも考えられます。その場合は、現在あげているフードの再評価が必要となります。
 また、寒かったり、太っていたりするとどうしても運動が億劫なもの。まあ、それも多くは飼い主様の言い分なことが多いと思うのですが.運動はエネルギーを利用するためだけではなく、身体の筋肉量を維持するために大切です。さらに食事中から摂取したエネルギーの80%は筋肉中に利用されるので、筋肉を動かすことでエネルギー消費が効果的に行われるのです。また、筋肉が十分に活動でいれば、血行も促進されるため基礎代謝率もアップします。おやつもなるべく、ゆでた肉や魚、野菜、ヨーグルトなど高品質な蛋白質や食物繊維を小量あげると良いでしょう。
 一方で、「飼い主チェック」で思い当たる節が無いのに、太ってきたような場合は、愛犬の健康上に問題がある可能性があります。その場合は、太るだけでなく、毛艶が無い、毛が抜ける、元気がない、下痢や嘔吐がある触ると嫌がる箇所がある、など他の症状が無いかも良く観察し、動物病院で診察して下さい。そして原因を探り、治療を行い、その病態をサポートする食事をあげることが最優先課題です。また、逆にやせていたコが治療の結果体重が増加してくるのは治療効果の表れですが、そのまま太らせすぎるのは逆効果です。

 愛犬の食生活チェックが自分の食生活の改善になるかもしれません!?

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