なぜ人の食べるものをあげてはいけないのですか?

 夏があったような、なかったような....やっと暑くなったと思ったら肌にふれる風は秋の気配...
「なんだかなー」という感じの7,8月でした。湿度が高くだるい日はダラーっとしたいものですが、我が家のマメタロウはそんな飼主に容赦なく、相変わらずの規則正しい生活を貫き、そのおかげで私もなんとか体調を維持することができたようです。
 さて、今回のテーマは「なぜ人の食べるものをあげてはいけないのか?」です。またなんでいまさらそんなテーマを...と思う方もいらっしゃることでしょうが、いまだに意外と多いのがこの質問です。確かに中毒症状を起こす「ねぎ類、生卵の白身、チョコレート、カフェイン」以外は、少々食べたくらいでは、すぐに異常が現れるわけではないので、「食べてはいけない」というよりは「食べられるが、少量にすべき」食べ物ということになります。
 「なぜ少量なのか?」ひとつには、主食ではないので、少量、つまり、1日に必要なエネルギーの約10%くらいにとどめないと、いつのまにか肥満になるからです。そして、大きな問題点は、多く方が「味のついた食べ物」を少しだけといってあげている点です。一般的には過剰な塩分は腎臓や心臓に、過剰な糖分や脂肪分は肝臓、腎臓、膵臓に負荷をかけるからだと説明しますが、どうも、この説明がしっくりいかずに、なんとなく「覚えている」けど「理解」していないのが現状なのかもしれません。また人の加工、精製食品には調味料や添加物が入っていますが自分でもあまり気にせずに口に運んでいるため、そういったものをあげている実感が無いのかもしれません。そこに、あの可愛いお願い攻撃のまなざし。ついあげたくなる気持ちもわかります。さらに、「少量」の感覚には個人差があるため、少しと思っていても意外と多くの量をあげている場合があります。イヌはのどに通る大きさの食べ物は飲み込む食性があるため、小指の先ほどの大きさであろうと、小指1本分だろうと、一口で終わってしまいます。犬の満足感は量ではなく回数なので、またお願いにきたら、あげてしまう。この繰り返しがどの量を基準に行なわれているのかによってその結果は大きく異なります。そこで、食べ物のについての説明を、こんな風に考えてみてはいかがでしょうか?
 以前「洗濯機で芋を洗ったら壊れた」というクレームが電気会社に入ったそうです。それは本来の使用目的とは違うので壊れるのは当然と思いますが、きっと最初はそれでも洗濯機は動いたのでしょう。あるいは、最初は少ない本数の芋を洗っていたのかもしれません。洗濯機は徐々に傷つき、ある日突然故障します。ここで身体を洗濯機に置き換えてみましょう。本来身体に入れるべきではないものを入れたらどうなるか?そう、体内の臓器に負担がかかり、見えないところで少しずつ傷みはじめます。身体は機械より優れているので、動かなくなる前に多様な赤信号を送ってくれます。それが多飲、多尿、嘔吐、下痢、血尿などの症状です。飼主はやっと「もしかしてあれがいけなかったのか」と気づきますが、腎臓のように我慢強い臓器はぎりぎりまで働きつづけ、分かりやすい症状が出たこころにはもう「働くのは疲れました」とばかりに機能不全を起こしたりします。
 さらに、寿命をヒトは約80年、イヌは15年とすると、身体は特別なことが無い限りその期間働けるように出来ています。10年保証の洗濯機は芋を洗っても2年くらいは持つかもしれませんが、1年保証の洗濯機はすぐに壊れてしまう可能性が高いでしょう。できるだけ長く使うには、注意書きにある「禁止事項」を守り、手入れをしながら丁寧に使うことが最低条件ですよね。
 「負担をかけなくても短い寿命にあえて負担をかけ健康を損なう手伝いを飼主がしない」ように食べ物の種類を見極め、「注意事項」を守った上で共有時間を分かち合いたいものです。

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