季節と食餌

 まだまだ寒い日が続いていますが、みなさんお元気ですか? 最近、マメタロウはすっかり、寒がりのレッテルを貼られるほど、気温差に敏感です。さむーい日の朝の散歩は出たと思ったら、「わっ、さむっ!!もう帰る!」といわんばかりの勢いで家に戻り、コタツでゆっくりと手足の手入れをしながら、食餌が出来るのを待っています。
 とはいっても天気の良い日の昼間は、太陽がさんさんと降り注ぐ中を気持ちよさそうに走っています。寒いとはいえ、やはり真冬の風の冷たさとは違います。そして、そんな日に熱中するのが、新しく生えてきたきれいな柔らかそうな草選び、その先端部分だけを食べることです。この犬に見られる行動には、ビタミン、ミネラルの不足を補うため、あるいは、胃壁を刺激し、不要物を吐き出すためなど諸説があります。おそらくどちらの説も正しいと思われます。なぜなら、冬の間は、寒い気温に対応できるよう、身体はより多くのエネルギーを必要とします。そしてそのエネルギー源として、最もエネルギー変換効率のよい脂肪分を他の季節より多少多めに食餌に加えます。しかし、脂肪を上手に消化できない場合もあるので、必然的にその他の炭水化物や蛋白質源(ごはんや肉)の分量も増えるわけです。そうすると、それを消化吸収するために、より多くのビタミンやミネラルが必要となるのです。その結果、ビタミンやミネラルがいつもと同量のままだと、それらの不足や、なんとなく未消化な状態が起こることが考えられます。
 このようなことから「食餌」のあり方を今一度考えてみると、「何を食べさせるか」と同時に「どうのように食べさせるか」も健康を維持していく上で重要な要素だということに気づきますよね。つまり、基本的な栄養素、季節、体調や環境により食餌は変化していくのがベストだと思われます。では、いったいどうのようにしたら良いのか?それは「自然」が教えてくれています。
たとえば、季節の食材について考えてみましょう。春は、肝臓の働きが活発になり、身体は体内の毒素を排泄しようとする季節です。そのためには健康な肝臓が重要であり、それをサポートするのが、菜の花のような春野菜の苦味成分です。夏は、暑さのため、身体が衰弱するので、体内に蓄積する熱を追い出さなければなりません。夏野菜であるトマトやキュウリには身体を冷やす効果があります。秋には夏の乾燥を補うため、なしなどの水分の多い果物や栗やサツマイモのように冬の前にエネルギーを蓄えるような食材が出回ります。また、冬場は身体を温める作用のある根菜類があります。こんなことを考えると、「肉」は季節感がない食材だったんですね。ただ、冬場の食餌は、ひき肉など脂肪含有量が高い食材を混ぜ、エネルギーを上げる工夫をしたり、夏のようにエネルギー要求量を落としたいときには、鶏のささみのように高蛋白低脂肪の肉を選ぶという方法で、食餌に変化をつけることが出来るでしょう。
 食餌中の栄養素にこだわるあまり、過剰栄養による疾病が起こる可能性もあります。栄養素は体内で相互に働くため、ただ単にそれらを摂取すれば良いというわけではないのです。何事にも「組み合わせ」というのがありますよね。
身体が何を必要としているのか、飼い主自身の食生活を含め、愛犬たちの食餌について考えてみてはいかがでしょうか。

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