食餌の与え方 I 

 天気の良い日は風に混じって新緑の香りが気持ち良いですね。
さて、今月は食餌のあたえかたについて考えてみましょう。
 食餌回数ですが、犬の場合「子犬のときは1日3−4回、その後2回、成犬では1回」という方法をお勧めする場合もあるようですが、当院では大型犬でも、小型犬でも成犬は基本的には1日に2回、それに昼間に出来れば少量のおやつをあげるパターンをお勧めします。その理由として第一に、一度に沢山食べるよりも消化吸収が良く、消化機能にかかる負担も少ないこと。第二に、ドライのドッグフードは胃液を急速に吸収し、おなかが張って消化不良の原因になることもあるのですが、1回分の量を少なくすることでそういった問題も避けることが出来ます。ふやかすことで、消化不良を防げることもありますが、この場合はふやかしすぎに気をつけてください。歯石がたまる原因にもなります。(毎日きちんと歯磨きしていれば大丈夫ですが..)また、犬の食にたいする満足度も重要です。家族の朝食や夕食時に良い匂いがしているのに家族の一員であるワンちゃんに何もないというのは酷な話です。さらに朝食べたっきり次の日まで何も食べられないというのは食餌と散歩が生きがいの彼らにとって大きなストレスでしょう。
 猫の場合は、今まで自由菜食制が薦められてきましたが、一方これは肥満の原因にもなっています。健康上問題がなければ良いのですが、猫の減量は大変なので、できれば決まった時間に食餌を与えたほうがよさそうです。
 この「決まった時間」というのにも色々な考え方があるようですが、私は大体毎日同じ時間に給餌するのが望ましいと思います。それは身体の機能に所以しています。身体というのは良く出来たもので、毎日の生活のリズムを記憶しており、それに伴って各器官の働きを最善にするように出来ています。ですから、理想的には同じ時間帯に食餌をすることで消化機能が良い状態で働くことが出来るのです。
 また、おやつですが、飼い主が昼間家にいる場合は、少量あげることで今度はいつ食べられるのかというストレスを与えずに、また、空腹時の胃液の急速な分泌を防ぐことに役立つかもしれません。
 何をあげるかに関しては、犬の場合、ささみのゆでたものや野菜などを少量あげたほうがワンちゃんの身体にも良いし、喜びます。生のニンジン(ベビーキャロットが食べやすい)はぽりぽりとかじるので歯にも良いですよ。猫の場合、アサリの蒸したてたものとか好きみたいです。おやつの種類は与えはじめが肝心です。人間の子供と一緒でハンバーガーで育った子の味覚は、それが一番になってしまいますよね。何が良いのか選ぶのは飼い主であり、管理者であるあなたの判断にかかっているのです。また、おやつは食餌ではないので、あくまでも少量をあげてくださいね。そのこの1日分の食餌カロリーの10分の1程度にとどめてください。また、おやつが多かった日には夕食の量を少し減らす、散歩を少し多めにするなどして肥満にならないよう、気をつけてあげて下さいね。
 次回は「食べない場合の食べさせ方」について考えてみましょう。

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