最近気になる報告がありました。それは、「『乾燥おからテンペ」は犬の便の状態を改善するのでドッグフードに使用できる」というものです。便は体内環境の鏡。便の状態が良いのは健康維持に欠かすことの出来ない要因です。「だったら、うちのコの食事にも今日からおからを…」って思ってしまいますが、「おから」ではなく、「おからテンペ」であり、さらに「乾燥」おからテンペです。いわゆる私たちの知っているおからと何が違うのでしょうか?また、乾燥おからテンペの代用を一般的なおからでできるのでしょうか?
何はともあれ、まずはおからについて知っておきましょう。おからは、豆腐を作るために生じた大豆の搾りかすですが大豆に含まれる蛋白質の20%、脂質の25%がおからに残り、またカルシウムや食物繊維が高いのが栄養特徴です。その食物繊維の多くは便通を促進する働きのあるセルロースですが、オリゴ糖といわれる腸内で善玉菌を増やして腸内環境を改善する働きがある食物繊維も含まれています。なるほど、おからは犬の健康によさそうな気がしますね。
一方、テンペは大豆を発酵させて作った食品です。つまり一般的なおからが発酵食品ではないのに対して、テンペは発酵食品ということになります。おからが食べてから腸内で発酵するのに対して、テンペはあらかじめ発酵したものを食べるのです。なぜ、テンペは発酵させてから食べるのか?それは発酵させることにより大豆中の栄養素が微生物や酵素により分解され栄養として消化吸収され易い状態になるからです。牛乳にお腹が弱くても、ヨーグルトは大丈夫なことがあるのはこういった原理によるものです。ところが、その栄養を狙っているのは様々な微生物も同様です。分解されればされるほど活動に必要なエネルギーを得るといった結果になります。栄養は欲しいけど微生物による悪影響は避けたい。これをかなえるのが「乾燥」という方法です。高熱による乾燥では微生物を死滅させ、かつその働きを活性化させる酵素の働きを制限します。その結果ある程度発酵した状態から、さらに発酵しないようにコントロールできるのです。肉食動物は腸管が体長比に対して短いため、過剰な発酵は腸内環境を乱す結果となります。何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。身体に適した種類の食品と食べ方が重要であることはこのことからも伺えます。
以上のことから考えると、一般的な「おから」を直接フードに混ぜることは、その量にもよりますが肉食動物にとってはデメリットもあるのだという認識が必要なようですね。よく、「フードにおからを混ぜて与え始めたら体重は減ったが、下痢になった」などというのはこの典型的な結果です。
また、おからは100g中に11.5gの食物繊維が含まれます。10gでも1g程度食物繊維が増えます。キャベツ100gに1.8gの食物繊維が含まれることを考えれば1gの食物繊維というのは思いのほか腸内に影響があることも考えられます。さらに、おから100gには3.6gの脂肪が含まれているので、これは鶏のささみ100g中に0.8gしか含まれないことを考えると意外と多く含まれていることが分かります。
よって、結論は、一般的なおからは、乾燥おからテンペの代用として同じようにペットフードにまぜて使用することは難しそうです。もし、便の状態を改善するために与えたい場合は、新鮮なおからをごく少量与えてみるか、または乾燥おからを利用し、便の様子を観察しながら適量を見つけるなどすると良いでしょう。また、オリゴ糖のように善玉菌を増やしたいのであれば、キャベツやブロッコリーなどにも含まれているので、このような野菜を適度に利用する方が簡単で安心すね。
「健康に良い」という情報を得たときこそすぐに飛びつかずに、その利点と欠点を知ることで判断するのが本当に「健康に良い」ことかもしれませんね。
何はともあれ、まずはおからについて知っておきましょう。おからは、豆腐を作るために生じた大豆の搾りかすですが大豆に含まれる蛋白質の20%、脂質の25%がおからに残り、またカルシウムや食物繊維が高いのが栄養特徴です。その食物繊維の多くは便通を促進する働きのあるセルロースですが、オリゴ糖といわれる腸内で善玉菌を増やして腸内環境を改善する働きがある食物繊維も含まれています。なるほど、おからは犬の健康によさそうな気がしますね。
一方、テンペは大豆を発酵させて作った食品です。つまり一般的なおからが発酵食品ではないのに対して、テンペは発酵食品ということになります。おからが食べてから腸内で発酵するのに対して、テンペはあらかじめ発酵したものを食べるのです。なぜ、テンペは発酵させてから食べるのか?それは発酵させることにより大豆中の栄養素が微生物や酵素により分解され栄養として消化吸収され易い状態になるからです。牛乳にお腹が弱くても、ヨーグルトは大丈夫なことがあるのはこういった原理によるものです。ところが、その栄養を狙っているのは様々な微生物も同様です。分解されればされるほど活動に必要なエネルギーを得るといった結果になります。栄養は欲しいけど微生物による悪影響は避けたい。これをかなえるのが「乾燥」という方法です。高熱による乾燥では微生物を死滅させ、かつその働きを活性化させる酵素の働きを制限します。その結果ある程度発酵した状態から、さらに発酵しないようにコントロールできるのです。肉食動物は腸管が体長比に対して短いため、過剰な発酵は腸内環境を乱す結果となります。何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。身体に適した種類の食品と食べ方が重要であることはこのことからも伺えます。
以上のことから考えると、一般的な「おから」を直接フードに混ぜることは、その量にもよりますが肉食動物にとってはデメリットもあるのだという認識が必要なようですね。よく、「フードにおからを混ぜて与え始めたら体重は減ったが、下痢になった」などというのはこの典型的な結果です。
また、おからは100g中に11.5gの食物繊維が含まれます。10gでも1g程度食物繊維が増えます。キャベツ100gに1.8gの食物繊維が含まれることを考えれば1gの食物繊維というのは思いのほか腸内に影響があることも考えられます。さらに、おから100gには3.6gの脂肪が含まれているので、これは鶏のささみ100g中に0.8gしか含まれないことを考えると意外と多く含まれていることが分かります。
よって、結論は、一般的なおからは、乾燥おからテンペの代用として同じようにペットフードにまぜて使用することは難しそうです。もし、便の状態を改善するために与えたい場合は、新鮮なおからをごく少量与えてみるか、または乾燥おからを利用し、便の様子を観察しながら適量を見つけるなどすると良いでしょう。また、オリゴ糖のように善玉菌を増やしたいのであれば、キャベツやブロッコリーなどにも含まれているので、このような野菜を適度に利用する方が簡単で安心すね。
「健康に良い」という情報を得たときこそすぐに飛びつかずに、その利点と欠点を知ることで判断するのが本当に「健康に良い」ことかもしれませんね。