ペットと生き残るための食の知恵

今回の東北地方太平洋沖地震は、あっという間に安全だと考えていた日本という国を不安定な国へと一変させました。これから復興までの道のりは今までになく長いものであることが予想されます。自分は何をすべきかを考えたとき、ふとレオナルド・ダ・ビンチの格言を思い出しました。「私は経験の弟子である」というものです。つまり、経験は悲惨なだけではなく、成長するために必用な人類の「師」なのです。そして、今はその師からの試験期間でしょうか?私が経験という師から出された課題は、「ペットと生き残るための食の知恵」です。どのような食べ物を保存し、また共に食べられるのかについて考えたいと思います。
やはり、最も重要なのは「水」です。ボトル入りで市販されている水にはミネラルウォーター、アルカリイオン水から波動水にいたるまで様々な名称の商品がありますが、大別すれば「軟水vs.硬水」ということになります。これはミネラルの含有量により区別されるのですが、犬や猫と一緒に飲むことを考える場合に気をつけたいのは「マグネシウム」の含有量です。犬や猫ではマグネシウムを多く含む水を長期間摂取することは尿石症との関連性があるため、選ぶならば硬水でマグネシウム含有量が低いものか軟水ということになります。水は飲まないことの方が命に関わり危険ですが、硬水は独特な味がするため神経質な動物は飲まない可能性もあります。そのような場合は手のひらをお皿代わりにすると安心して口をつけてくれます。
次はタンパク質源です。タンパク質は身体を作るために必要な栄養素であるため、不足すると抵抗力が低下し、感染症などにかかりやすくなります。特に肉食動物である犬や猫はなおさらです。そこで作り置可能な保存食として「手作りジャーキー」に挑戦してみましょう。鶏のささみやレバー、豚肉、牛肉などをさっと湯がいたものを薄く適当な大きさに切り、120℃程度のオーブンで50分くらい焼き、冷凍保存または真空パックしておきます。そのままでも小さくちぎって何かに混ぜても食べられます。
エネルギー源としては乾パン、缶詰パンやパックごはん、レトルートのおかゆなどの消化に良い炭水化物が利用できます。ストレスが高くなると消化能が低下しやすく下痢または便秘を起こしやすくなるので消化の良い炭水化物源が理想です。レトルートのおかゆは水分も入っているので一石二鳥です。また、青汁の粉や乾燥野菜は非常時の食物繊維やビタミン、ミネラルの補給になり腸内環境をサポートしてくれます。そして、持っていると便利なのがコンデンスミルクです。薄めて飲み物に、なめて栄養補給にと使用でき、保期間長いのが特徴です。牛乳を2.5倍に濃縮したエバミルクも便利です。
そのほか、乳幼児や高齢者用に開発された食品は薄味で塩分濃度も低くできているので、犬や猫が食べていけないものが入っていなければ利用することができます。特に乳幼児向け商品はカルシウムが添加され、また高齢者用食品は消化性にも留意してあるのが特徴です。薄味ソーセージ、鶏肉の缶詰、歯固めクッキーやボーロなどがあります。普段からどのような商品があるのか気に留め、ラベルを読んでおく良いでしょう。
スーパーからは米、納豆やインスタント食品などある特定の食品ばかりが不足していますが、それらの食品がどのような栄養を取るために必要なのかを理解できれば、代用食品は多くあります。知識は生き残るための術です。大切な家族を最後まで守るため、今こそ知識を深め、知恵を発揮しましょう。

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