風の中に散る臭いを追いかけたり、他の犬のおしっこの臭いに強く反応したりと愛犬の行動変化を見ていると、寒くても春を感じますね。ふと目線をあげると梅の花もさいていました!
日照時間が変化に伴い、体内リズムにも変化が生じます。春先に体調を崩しやすいのはこのためです。たとえば毎年この時期にだけめまいがする、眠れない、なんとなく不安だなど病気ではないのに不調を経験したことはありませんか?このような変化に対応するには、変化があるということを知ることが大切です。私たちは「見える」変化は大きな変化として捉えますが、「見えない」変化に結構句頓着だったりするものです。その結果、急激な変化を強いられた見えない変化が、身体にとって大きな負担になることがあります。
見えない変化で身体に大きな影響を与えるものの一つが「食事」です。食事は空腹を癒すだけのものではなく、身体を維持、修復するために重要だからです。さらに、その働きは「腸内環境」により左右されます。腸内は食事からの栄養を消化吸収するために非常な重要な場所であり、ここから栄養が吸収されなければ身体で利用することができないからです。たとえば、手術などをして細胞をいつもより修復しなければならない状況下では、普段より多くの蛋白質を必要とします。ところが、腸内が不健康な状態では、口からは食べていても、その栄養を十分に細胞に取り込むことができないのです。修復の時間が長引けば、入院期間も長くなり、結果入院費もかさむことも考えられます。
腸内環境を正常に保つには、個体に適した栄養バランスのとれた食事と過剰なストレスを避けることが大切です。たとえば、「入院」を例にとってみましょう。多くの場合、食欲が低下する、食べなくなることがあります。これは、環境の変化と食事の変化が同時に生じた場合に考えられます。その上、手術が加われば、本来しっかりと食べて早く回復したいのに食べないと思うように回復が進みません。
そこで、考えたいのが「同じにできる環境は動かさない」ということです。入院において同じ環境においておけるのは、もちろん病態にもよりますが「食事」です。ペットフードは見た目が似ているため、飼い主様はそれを環境の変化だと気付きませんが、フードを構成する栄養バランス、原材料や質はフードにより異なります。よって、食事の指示がない場合は、入院中も同じものを食べる方が身体には安心なので、いつものフードを持参されるのがいいと思います。一方で、病態により療法食への移行を進められるような場合は、フードの切り替えに1週間はみて、入院中に与えられる予定のフードを少しずつ現在のフードと入れ替えながら、慣らしていくという「入院準備」をすると良いでしょう。特になれた臭いのする、腸内環境を変えないフードであれば、入院中の不安も軽減ししっかりと食べてくれるかもしれません。
順調に体調を回復し、1日も早く大好きな飼い主様の元へ帰れるようにするためには、入院前後の環境への対応期間も大切だと思います。