オメガ-3(n-3)脂肪酸

 近年話題のオメガ-3脂肪酸。オメガ・スリー脂肪酸と読みますが、みなさんは聞いたことがありますか?ペットフードでは、被毛の健康やアレルギーを考慮したフードに使用されているので、何となく目にしたことはあるかもしれませんが、あまり気に留めていないかもしれません。しかし、今やオメガ-3脂肪酸は、一般の総合栄養食以外に療法食の分野でも大活躍!脳、心臓、腎臓、関節や癌に至るまで様々な疾患をサポートするフードにも使用されています。そこで、今回はこの「オメガ-3脂肪酸とはなんぞや?」を説明したいと思います。

 人や動物が身体の中では合成できないため、食事から必ず取り入れなければならない脂肪を必須脂肪酸といい、リノール酸があります。リノール酸は紅花油やひまわり油など植物性脂肪に多く含まれており、これらをオメガ-6脂肪酸と呼びます。

 一方で本来は必須脂肪酸ではありませんが、近年その重要性から必須脂肪酸として考えられているのがα(アルファ)-リノレン酸です。これはフラックスシード油(亜麻仁油)、ゴマ油や紫蘇油に多く含まれています。α-リノレン酸は体内で、EPA(エイオサペンタエン酸)へ、そしてDHA(ドコサヘキサエン酸)へと作りかえられます。これらをすべてオメガ-3脂肪酸と呼びます。

 オメガ-3系脂肪酸の働きの一つに「血流の改善」があります。生命体を構成している細胞もまた、私たち同様に活動するためのエネルギーや細胞を常に良い状態に作り変える栄養が必要です。私たちは栄養やエネルギーを口から食べものを食べることで摂取しますが、細胞は血液を通してそれらを供給されます。よって、血液の流れがスムーズであれば毛細血管にいたるまで組織の活動や修復に必要な栄養やエネルギーが供給されるため、身体を良い状態に保つことができるのです。心臓や腎臓疾患、あるいは脳の健康を考慮したフードにEPAが使用される理由です。また、EPAには「炎症を軽減」する働きもあるため、アレルギー疾患や関節をサポートするフードに使用されます。その他にも、免疫力を強化する、癌細胞と戦う働きが注目され、がんをサポートするフードにも使用されています。

 ペットフードでは、オメガ-3脂肪酸源として、『魚油』を使用していることが多いのですが、これは体内で作りかえる必要がないため直接的な効果が期待できるためです。特に子犬や子猫など肝臓が未発達な場合、肝臓の働きが悪く上手に作り変えられない場合などはなおさらです。

 だったら「オメガ-3脂肪酸を沢山与えればもっと健康になれるの?」と考えてしまうかもしれません。しかし、この脂肪酸はオメガ-6脂肪酸とのバランスが大切であること、空気や熱などに酸化しやすいのでビタミンEの補助が必要です。よって単純にフードに加え、摂取量を増やすだけでは、必用な脂肪酸のバランスが崩れる、フリーラジカルの産生量を増やす、あるいは肥満の原因になるなど考えられます。そのため、栄養補助として使用したい場合には、すでにビタミンEとの組み合わせで、ジェルカプセルに入っている魚油のサプリメントを使用すると良いでしょう。

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