遠慮がちな愚痴!?

 あけましておめでとうございます。ミレニアムだと騒がれてからはや10年が経つのですね。5年一昔といわれることを考えると、年月の流れの速さに圧倒されてしまいます!我が家の愛犬も今年で15歳、私も○○歳.毎年体力は低下しますが、愛情と知識欲はパワーアップしています!

 今回はそんな年月の流れに留まることも無く、日夜休むことなく働き続ける身体、その中でも「肝臓」にスポットを当てたいと思います。その働きは「身体の化学工場」と呼ばれ、代謝、解毒、胆汁の産生など体内で500種類以上の化学反応を担っています。そのうえ「沈黙の臓器」という別名もあるほどの頑張り屋。なかなか弱音を吐きません。「ちょっと無理かな〜」程度の軽い愚痴を言ってはみるものの誰にも気づかれないといったところでしょうか。そのため、気付いたときには症状が進行していることが多いのです。それでも肝臓はがんばります。たとえその2/3が切除されたとしても、元の大きさに復活するガッツがあるのです!肝臓、エラ〜イ!! まるで、不景気時代を支える希少な社員のようです!!しかし、だからといってその頑張りに甘えてばかりではいけません。身体のオーナーとしてはその努力に気づき、ねぎらいの言葉を掛けて休ませてあげることも考えなければ、いつか疲弊してしまいます。では、肝臓への負担を少しでも減らすためには何をすればよいのでしょうか?

 まずは、「余計な物質を送り込まないこと」です。肝臓で代謝されるのは栄養素のほかに食事から一緒に体内に入った毒物や薬です。そのため、私たちは真っ先に食品添加物などの毒物や薬に目が行きますが、実は栄養素の過剰もまた「余計な物」なのです。飼い主様はペットの栄養の過剰ではなく不足を不安に思うため、主食以外の食べ物を色々と与える傾向があります。その代表選手が「肉」です。肉、魚、卵や乳製品などの動物性タンパク質は確かに肉食動物である犬や猫には必要な栄養ですが、一方で消化、吸収、そして肝臓での代謝に複雑な条件が必要な栄養素なのです。そのため、過剰摂取をすると、肝臓の働きにも負荷がかかります。そのときの初期症状のひとつに食欲不振がありますが、多くの場合、飼い主様はさらに好きな食べ物(多くは肉や乳製品)を食事に加えることで、この事態を乗り切ってしまいます。なぜならペットもまだ気持ちが悪くて食べられない状態には至っていないからです。しかし、肝臓は.そう、この段階こそが「肝臓の遠慮がちな愚痴」なのです。よって、タンパク質を必要以上に与えることは逆効果でもあるということを知っておくことが大切です。特に小型犬ではほんの5gが与えすぎになることがあります。

 おやつは主食から十分なエネルギーとバランスのとれた栄養を摂取できているならば、少なければ少ないに越したことはありません。与える場合には、鶏ムネ肉、卵、ヨーグルト、かぼちゃ、さつまいもなど肝臓をサポートする働きのあるアミノ酸やビタミンを含む自然食材から、1日のエネルギー量の10%以内を目安にするとよいでしょう。

 ペットの行動変化を常によく観察し、肝臓の遠慮がちな愚痴に耳を傾け、「加える」よりも、「引く」ことで肝臓の働きをサポートし、今年も快眠、快食、快便の健康な一年をすごしましょう!

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