ペットビジネスが盛んになればなるほど「食」への疑問は膨らんできます。それだけ情報が氾濫するため、何を信じてよいのか分からなくなるのは当然です。愛犬を大切だと思えば思うほどその不安は膨らんでくるのでしょう。その不安の元凶が「いいか悪いか」という単純な良し悪しの判断です。特にどんな食べ物をあげてもいいか悪いかについて飼い主様の疑問は膨らみます。なぜならば一般的に「犬や猫に与えてはいけない食べ物」というくくりにある以外にも多様な食べ物を与えている現実があるからです。
　「人間が食べても大丈夫だから平気でしょう」「少しくらいなら平気でしょう」「うちの犬はそれでも16歳までいきました」などなど人間は基本的に都合の良いほうに物事をとらせる性質があるため、「あげたい」飼い主様は「できればあげたい」のです。実際にはどれも正論です。しかし、物事の捉え方は人それぞれであり、話の実質を歪曲して受け取る場合もあるため、トラブルを避けるには「いけない」食べ物に分類してしまうのが一番誰にも分かりやすい！それでも飼い主様は「あげたい」のです。
　そこで、今回は「おやつ」にテーマを絞り、いわゆる犬や猫に与えてはいけない食べもの（中毒症状が報告されているもの）以外に、飼い主様たちが、グレーゾーンとして捕らえている日常的な食品を三つのグループに分類してみました。

① 食材（素材）
肉、野菜やイモ類、豆類、穀類などがこの中に入ります。これらは便がゆるい、固い、未消化物が混じっているなどの消化器症状がでない程度であれば問題はありませんが。しかし単品を多く与え続けると、ある特長的な栄養素だけが過剰になり、その結果なんらかの疾患に関与することがあります。

② 準加工食品
これらは「食材＋調味料」を基本につくられている食品。一般的には「家庭料理」などの手作り食品です。刺激物や犬や猫に危険な食材や調味料を使用していなければ、すぐに健康障害を起こすわけではありませんが、高脂肪、高タンパクであることが多く、また塩分や糖分も高いため、犬や猫に嗜好性が高く、味を覚えるともっとほしがる傾向があります。そのため、与えすぎて肥満になりやすい食品です。継続すれば当然健康障害の原因となります。

③ 加工食品
これは「食材＋調味料＋添加物」で構成される食品で、市販の加工食品の大半がこれです。
調味料や添加物は犬や猫には必要がないため、②と同様に少量ですぐに問題が起きるわけではありませんが、継続して与えているうちに健康障害を起こすことがあります。添加物は単独では問題が起こらないとしても何種類かが化学反応を起こして危険な物質に作りかえられることがあります。その上解毒システムが正常に起動していない場合は体外に排泄することなく蓄積してしまいます。そのためこのグループは基本的にはあげないことです。

　食品が氾濫している現代では一つ一つを良し悪しだけで判断するのは困難です。上記のようなグループを参考にするとともに、主食をしっかりと与え、おやつは「加工度の少ないものを少ないだけ与えるのが良い」というように覚えておきましょう。