おからダイエット!?

 桜の季節も過ぎ去り、新緑の美しい季節となりました。お散歩も気持ちがいいですね。しかし、ヒトにとってはまだ快適なこの気候、愛犬にとってはすでに夏の始まりです。いつものと同じ散歩のはずなのにふと見ると、口をすぐにパカっとあけて体温調節をしている姿がけなげです
 犬の体温調節に重要なのがパンティング。体温調節の必要性が増すほどに、肺や心臓に負担がかかります。体温を一定に保つことは身体を正常に保つ上で非常に重要です。にもかかわらず最近は、体重過剰の犬が多く、そうでなくても負担のかかる肺や心臓にさらに負担がかかるのが気になります。
 そんな飼い主様の多くが減量のため試みるのが「おからダイエット」です。主食のペットフードにおからを加えているという話を良く伺います。確かに「おから」はヒトのダイエット商品に頻繁に登場してくるため、「おから=減量」のイメージがついているようです。一方で、便の量が異常に多くなった、一向に痩せないなど、思うような効果が得られなく悩んでいる飼い主様もいらっしゃいます。では、いったい「おから」を犬の減量に利用するのは正しい選択なのでしょうか?
 「おから」は豆乳を作る過程で大豆の搾りかすです。大豆自体は、「畑の肉」といわれるようにタンパク質に富み、それ以外にもビタミンB群や食物繊維が豊富なことで知られています。さらに、コレステロールを低下させる作用から肥満や心臓疾の予防食としても注目を集めています。一方「おから」の注目のポイントは、その豊富な食物繊維です。おからに含まれる食物繊維は、主に不溶性食物繊維で、これは便を形作る材料になるため、多く摂取すれば当然便の量も多くなります。また、食物繊維によりかさがました食事は、満足感が得られますが、一方でこの繊維は消化器官から食べ物が送り出されるスピードを速めるため、空腹感を感じるのも早いという特長があります。さらに、市販のおからには、ペットフード中のおからと異なり、純粋に繊維だけではなく、大豆の栄養が残っており、それがおからの食物繊維が大腸で発酵するのを促すため、与えすぎはガスの原因になり、腸内環境を崩して下痢を生じることがあります。「うちのコは、そんなことないのにな〜」と思っている方、使用している「おから」は豆腐屋さんで買った水分を含むものではなく、スーパーなどで市販されているとても乾燥している粉状のおからではありませんか?この場合は、逆に食物繊維が消化管で水分を吸って膨張するため、水分を多く摂取していないと便秘の原因にもなるという全く逆の作用が生じます。
 また、低カロリーだと思っているおからですが、実は意外とカロリーがあるのです!100gあたりを鶏のささみと比較した場合、脂肪の含有量は、鶏のささみでは0.8g、おからには3.6g。エネルギー量は、鶏ささみは105kcal、おからは旧来製法では89kcal、新製法では111kcalになります。また、通常野菜などの食物繊維過剰は、他の栄養素の消化吸収性が悪くなりますが、おからは、犬のタンパク質と脂肪の消化吸収に殆ど影響を与えません。よって、多く与えていれば、減らそうと思っていたエネルギーも、実は与えていることになります。
 よって、「おから」は単に加える前に、目的を明確にし、適した形態や量で使用しないとマイナスの効果を生じることがあるので、気をつけましょう。

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