日本獣医師会雑誌 2024 年 77 巻 5 号 p. e63-e68

腹腔鏡下前立腺囊胞部分切除術及び
前立腺大網固定術を実施した犬の1例

著者:高木 勝久、岡田 みどり、呉竹 涼平、弓削田 直子


抄録

犬の前立腺囊胞に対する外科治療として前立腺囊胞切除術や前立腺大網固定術が推奨されている.医学領域において腹腔鏡やロボット支援下での前立腺囊胞切除術の報告はあるが,獣医学領域における腹腔鏡下前立腺囊胞切除術及び前立腺大網固定術を同時に施術した報告はなく,腹腔鏡下での前立腺周囲の術野展開に関する知見も乏しい.今回,犬の前立腺実質外囊胞の症例に対し,腹腔鏡下で前立腺囊胞部分切除術及び前立腺大網固定術を実施可能であることを示した.膀胱尖部にかけた支持糸の体外への牽引が腹腔鏡下における前立腺実質外囊胞基部の術野展開に有用であり,術中術後に合併症は認めなかった.前立腺実質外囊胞の外科治療の選択肢として腹腔鏡手術が考慮できる.