学会誌 2005年

日本動物看護学会誌 Animal Nursing vol.10 No.1 19-21 2005

●投稿論文 帝王切開におけるVTの役割
研究者:大矢純子 石田美奈子 岡田かおり 阪口貴彦 水野雅夫 岡田みど り 山村穂積

帝王切開では、術前準備や胎子の蘇生などでVTが重要な役割を担っていることから、全員が作業手順や注意事項に精通するために、日頃からVT教育が欠かせない。今後これらの課題をいかし、飼い主が安心して出産に臨める病院の体制作りにわれわれVTも積極的に関わり、1頭でも多くの新しい命を無事に誕生させていきたい。


日本獣医師会雑誌 vol.58.9.617-621 2005

●短報 後頭骨環椎軸椎奇形猫の一例
研究者:宇野雄博 湯本哲夫 中西 淳 高島一昭  藤田桂一 山村穂積   酒井健夫

生後五カ月の雌の雑種猫が、2カ月前から四肢の運動失調が徐々に進行して起立困難となった。本症例はX線検査で環椎および軸椎の形態の異常と第3、第4頸椎の左右不対称が見られ、また腰椎も6椎体を示した。本症例は生後約1カ月から飼育し始め、外傷や感染症の病歴がないことから、先天性の後頭骨環椎軸椎奇形と診断した。診断後はネックカラーの装着と屋内飼育を厳守したところ、1歳3カ月時に一過性の四肢の不全麻痺を生じたが、この症状も直ちに改善し、診断後1年経過した現在、起立歩行が可能となった。


日本獣医師会雑誌 vol.58.6.401-404 2005

●原著 ビタミンE添加の市販フードを主食とする猫に見られた黄 色脂肪症
研究者:宇野雄博 湯本哲夫 片桐麻紀子 金刺祐一郎 藤田桂一 山村穂積   酒井健夫

市販フードを主食とする平均年齢10,5カ月齢(6カ月〜1歳4カ月齢)の猫4例に、黄色脂肪症を認めたので、給与食餌との関連について検討した。発症猫2例に給与されていた2種類の市販フードの分析では、推奨量のビタミンEが含有されていたが、療法食メーカーの成猫用フードに比べて、リノール酸の含有率が高く、ω3系の比率はω6系に比べて高かった。次に、健康な成猫2頭に、発症猫に給与していたフードを70日間給与したところ、血中のアラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の濃度が著しく高く、ω3系の比率はω6系に比べて高くなった。以上、推奨量のビタミンEが含有されていても、リノール酸含有率が低く、高度不飽和脂肪酸含有率が高く、ω3系の比率がω6系に比べて高い飼料を継続給与すると、黄色脂肪症を発症する可能性があると考えられた