上手はどっち!?

 「すぐに飽きて食べなくなる」という飼い主様の悩みは、相変わらず悩みの上位を占めますが、みなさんのお宅はいかがですか?
 以前に、その悩みを解消すべくいくつかのトッピングの仕方についてコラムを書きました。そのときのポイントは、①フードの「におい」をかえる②エネルギー全体の10%以内にする③上に「のせる」のではなくてフード全体に「絡ませる」というようなことをポイントにお話ししましたね。「フード」といっているので、手作り食の場合このような悩みが生じないのかと思いきや、実は手作り食でも同じように飼い主様を悩ませることがあります。いずれの場合も飼い主様は、犬が食べないのは「同じ食事に飽きたのでは?」と考えることが多いようです。この考えが正しければ、トッピングを加えてにおいに変化を付ける、あるいはフードを変えたり、食材を変えたりすると良く食べるようになるはずです。確かに、このような方法を試みれば、一時的に良く食べるようになりますが、また時がたてば同じような問題が生じます。すると、飼い主様はまた食事に変化をつける、内容を変更する、それなのに犬はしばらく良く食べて、また食べなくなる.という悪循環を繰り返します。こうなると、飼い主様もお手上げです。いったい何をあげればよいのか分からなくなり、以前は楽しかった食事選びが、いつの間にか悩みの種へと変わっていった経験はありませんか?食事は生きるためでもありますが、楽しむことも重要です。決して苦痛を感じるためのものではありません。
 では、なぜこのような悪循環が生じるのでしょうか?これが今回のタイトル「上手はどっち!?」の意味するとこ知人の結婚式で、いつもは食べないフランス料理に大興奮!しかし、自宅に帰ってくるころには「あ〜お茶漬けが食べたい!」と感じたことはありませんか?食は文化と結びつき、身体はその食文化により培われているのです。よって、体が安心するのは「いつもの食事」なのです。しかし、新しいものを知ればそれを食べてみたいと思うのは当然ですね。では、犬はどこでそのようなことを学習しているのでしょうか?実は「飼い主様」から学習しているのです。食事を頻繁に変えれば変えるほど、新しい食べ物を加えれば加えるほど、「もっとおいしい食べ物がある!」ということを学習しているのです。学習してしまえば、当然そちらを食べたくなります。また、そこには飼い主様と犬の心理ゲームも隠されています。犬はここでも飼い主様からどうすれば、このゲームに勝てるのかを学習しています。そう、「食べなければ」勝てるのです。
 この悪循環をどこで断ち切るのか?鍵を握るのは「犬」ではなく「飼い主」さんです。もし、食べないそぶりを見せてもそばであたふたと心配せずに、ちょっと、その場を離れて他の仕事でもしてみましょう。何回か飼い主様の様子を見に来るかもしれませんが、気がつかぬふりをしてみてください。来なくなった頃に、探してみると結構普通に食べていたりします。そして、きれいに食べたら、ほめてあげましょう。「えっ、何で?」と思うかもしれませんが、犬は飼い主様に褒められるのが大好き!「食べたら、褒めてもらえる」という良い条件付けをすることが大切です。また、このとき何か少しご褒美を上げるのもいいですね。
 犬が飼い主様より上手なのは「うちのコって賢くて可愛い〜」と感じるかもしれませんが、飼い主様は犬より上手でいたいですよね。

一覧ページへ戻る