最近ホリスティックという言葉が徐々に普及してきました。私が現在勉強し続けているのもホリスティック・ニュートリションという分野です。「ホリスティック」は「全体に」という意味です。つまり、栄養学だけではなく、健康を支える三つの柱「栄養、運動、環境」の各要素の関連を勉強し、それらをバランスよく取り入れることで心身の健康を探っていきます。今回は環境の側面から「喫煙がペットにおよぼす影響」についてお話したいと思います。
アメリカにはASPCA(Animal Poison Control Center)という、生活環境に取り巻く、動物にとって有害な物質についての情報を提供している団体があります。そのリストの一つに「喫煙」があります。もちろん、タバコを食べてしまうなど直接的な摂取が犬や猫にとって命に関わる可能性があるだろうことは想像できると思いますが、意外気づいていないのが、喫煙者が吐く煙『副流煙』による害です。この副流煙の中には4000種類もの化学物質が含有されており、発癌物質であるベンゾビレンは主流煙の約4倍、一酸化炭素やアンモニアは約5倍、ホルムアルデヒドは50倍にも及ぶといわれています。主流煙は酸性ですが、副流煙はアルカリ性なため、粘膜刺激が強く、また血管が収縮し血流が悪くなります。その結果、身体細胞への栄養分や酸素の運搬が妨げられるという弊害が生じます。親が喫煙者の場合、子供が喘息になる確率が高く、また免疫力の低下は虫歯の発生原因にもなっています。読解や算数の成績も非喫煙者の家庭に比較し低かったそうです。夫が喫煙者の妻では、肺癌になる確率が増加し、女性の喫煙では、喫煙により皮膚のコラーゲンを分解するたんぱく質が増加し、その結果肌が荒れることが分かっています。
では、この副流煙による害は生活を共にするペットにどんな影響を及ぼしているのでしょうか? ASPCAでは、コリーのような長頭犬種では、鼻が化学物質のフィルターの役割をするため、副鼻腔癌になる率が高く、パグ、ボクサー、ボストンテリアなどの短頭犬種では直接肺に副流煙が入ってくるため肺癌の率が高いそうです。さらに、飼い主が喫煙者の場合、犬の発癌率はそうではない場合の約1.6倍に及ぶそうです。咳、体重減少、鼻の周囲の腫れやくしゃみ、または血液の混じった分泌物などの諸症状を伴い、喘息、気管支炎、副鼻腔癌や肺癌などの疾患が発生しています。一方で、猫の場合、悪性リンパ腫が発生しやすいそうです。これは、猫が室内で過ごす時間が長いこと、毛づくろいの習性からその被毛に蓄積された化学物質を体内摂取することにあると考えられています。1993年から2000年の間に行われたAmerican Journal of Epidemilogyに発表されたある研究では、180匹の猫のうち80匹の猫の悪性リンパ腫の原因は環境的副流煙だと報告しています。
日本ではこうした研究に決定打は今のところ無いので、絶対とは言えませんが、かわいい我がコに環境的な害を無意識のうちに与えているのは事実のようです。鼻や目などの粘膜部分に刺激を受け、炎症を起こしやすかったりしていませんか?動物は環境に適応性があり、かつ臭いは記憶と結びつくため、煙の臭い=飼い主様の臭いなのかもしれませんが、身体の中の細胞は助けを求めているかもしれません。
栄養学的には喫煙が抗酸化作用や免疫力をアップする作用のあるビタミンCやビタミンEの無駄遣いをし、老化を早めるとしています。だったらサプリメントを飲めばいいじゃないかと考えがちですが、それでは病気の対処療法と同じ。根本的な解決にはなりません。「肺」や「鼻」というフィルターは使われ続けているのです。干ばつで森林が破壊しかけているとき、少々雨が降ったからといって意味が無いようなものです。かといって大雨になれば弱り目にたたり目。弱っている木々は十分に水を吸うことはできずに今度は洪水に。身体も同様です。すでに問題が生じている部分は、まずそこを直すと同時に、そこに「かかる負荷を軽減する」ことが先決です。
「何を食べたらよいのか」というテーマで以前にお話したときに、「引き算の栄養管理」について述べさせていただきました。現在から良いと思うものをどんどん足していくのではなく、悪いと思われるものをどんどん引いていくのです。その結果最終的に残された本当に必要なもの。それを把握することが重要なのです。本当に必要なものが見えているのか、そのことを知っているのか、このことは食事だけに限らず、生きていくうえで必要なことだと思うのです。そして、自分にとって本当に必要なものが分かったとき、周囲に対しても必要なものも見えてくるのかもしれませんね。
たばこは嗜好品なので、良し悪しの判断はできません。しかし、こういった報告もあるということを念頭に、せめて空気清浄機を使用したり、この際「蛍族」になるなど工夫をしてみてはいかがでしょうか?
アメリカにはASPCA(Animal Poison Control Center)という、生活環境に取り巻く、動物にとって有害な物質についての情報を提供している団体があります。そのリストの一つに「喫煙」があります。もちろん、タバコを食べてしまうなど直接的な摂取が犬や猫にとって命に関わる可能性があるだろうことは想像できると思いますが、意外気づいていないのが、喫煙者が吐く煙『副流煙』による害です。この副流煙の中には4000種類もの化学物質が含有されており、発癌物質であるベンゾビレンは主流煙の約4倍、一酸化炭素やアンモニアは約5倍、ホルムアルデヒドは50倍にも及ぶといわれています。主流煙は酸性ですが、副流煙はアルカリ性なため、粘膜刺激が強く、また血管が収縮し血流が悪くなります。その結果、身体細胞への栄養分や酸素の運搬が妨げられるという弊害が生じます。親が喫煙者の場合、子供が喘息になる確率が高く、また免疫力の低下は虫歯の発生原因にもなっています。読解や算数の成績も非喫煙者の家庭に比較し低かったそうです。夫が喫煙者の妻では、肺癌になる確率が増加し、女性の喫煙では、喫煙により皮膚のコラーゲンを分解するたんぱく質が増加し、その結果肌が荒れることが分かっています。
では、この副流煙による害は生活を共にするペットにどんな影響を及ぼしているのでしょうか? ASPCAでは、コリーのような長頭犬種では、鼻が化学物質のフィルターの役割をするため、副鼻腔癌になる率が高く、パグ、ボクサー、ボストンテリアなどの短頭犬種では直接肺に副流煙が入ってくるため肺癌の率が高いそうです。さらに、飼い主が喫煙者の場合、犬の発癌率はそうではない場合の約1.6倍に及ぶそうです。咳、体重減少、鼻の周囲の腫れやくしゃみ、または血液の混じった分泌物などの諸症状を伴い、喘息、気管支炎、副鼻腔癌や肺癌などの疾患が発生しています。一方で、猫の場合、悪性リンパ腫が発生しやすいそうです。これは、猫が室内で過ごす時間が長いこと、毛づくろいの習性からその被毛に蓄積された化学物質を体内摂取することにあると考えられています。1993年から2000年の間に行われたAmerican Journal of Epidemilogyに発表されたある研究では、180匹の猫のうち80匹の猫の悪性リンパ腫の原因は環境的副流煙だと報告しています。
日本ではこうした研究に決定打は今のところ無いので、絶対とは言えませんが、かわいい我がコに環境的な害を無意識のうちに与えているのは事実のようです。鼻や目などの粘膜部分に刺激を受け、炎症を起こしやすかったりしていませんか?動物は環境に適応性があり、かつ臭いは記憶と結びつくため、煙の臭い=飼い主様の臭いなのかもしれませんが、身体の中の細胞は助けを求めているかもしれません。
栄養学的には喫煙が抗酸化作用や免疫力をアップする作用のあるビタミンCやビタミンEの無駄遣いをし、老化を早めるとしています。だったらサプリメントを飲めばいいじゃないかと考えがちですが、それでは病気の対処療法と同じ。根本的な解決にはなりません。「肺」や「鼻」というフィルターは使われ続けているのです。干ばつで森林が破壊しかけているとき、少々雨が降ったからといって意味が無いようなものです。かといって大雨になれば弱り目にたたり目。弱っている木々は十分に水を吸うことはできずに今度は洪水に。身体も同様です。すでに問題が生じている部分は、まずそこを直すと同時に、そこに「かかる負荷を軽減する」ことが先決です。
「何を食べたらよいのか」というテーマで以前にお話したときに、「引き算の栄養管理」について述べさせていただきました。現在から良いと思うものをどんどん足していくのではなく、悪いと思われるものをどんどん引いていくのです。その結果最終的に残された本当に必要なもの。それを把握することが重要なのです。本当に必要なものが見えているのか、そのことを知っているのか、このことは食事だけに限らず、生きていくうえで必要なことだと思うのです。そして、自分にとって本当に必要なものが分かったとき、周囲に対しても必要なものも見えてくるのかもしれませんね。
たばこは嗜好品なので、良し悪しの判断はできません。しかし、こういった報告もあるということを念頭に、せめて空気清浄機を使用したり、この際「蛍族」になるなど工夫をしてみてはいかがでしょうか?