ペットフードの話 II

 やっと薄着が出来る!と思ったのもつかの間、翌日にはダウンジャケットが着たくなるようなこの毎日の気温差。でも、しまいかけたフリースのジャケットのファスナーを首が隠れるほど上げ、寒さで肩をいからせている飼い主を尻目に、我が家の愛犬はしっかりと起床を夏時間へと移行させ、意気揚揚と散歩を楽しんでいます。
 さて、先月はペットフードの選び方のお話をしました。今回はそのラベルに表示してある主原料について考えてみましょう。
 ラベルを読んで見るといくつか「何これって?」という材料はありませんか?
そのひとつがいわゆる「副産物」といわれるものではないでしょうか。肉副産物、鶏副産物粉などの表示を見たことがあると思います。これらは、肉自体ではなく、動物の肺、肝臓、腎臓、胃、腸、血液などを含んでおり、粗悪なフードでは糞尿や屍、羽などが含まれている場合もあります。では、なぜこれらを入れる必要があるのでしょうか?これには次の二つの理由があります。ひとつは動物の野生の食性を考えた場合、彼らは獲物の肉だけではなく内臓も摂取します。それは内臓には肉には含まれていない栄養素が含まれているからなのです。また、肉はミネラル(特にリン)の含有率が高く、カルシウムとのバランスが崩れがちになりやすいのをリンの含有率の少ない副産物を摂取することでバランスをとり、結石などの疾病を予防する役割もあるのです。
 また、「鶏肉粉」「肉副産物粉」となっているものがあります。これは鶏肉あるいは肉副産物であることに変わりはないのですが、工場へ材料が運ばれてくるとき、すでに粉状になっている材料をいいます。このような材料はこのあとまたフード製造の段階で加熱されるため、結果として2回加熱処理されていることになります。このことが蛋白質の変成とどうかかわっているかはおそらく各社の企業秘密なのでわかりません。
 次に「ダイジェスト」です。これは脂肪を化学処理あるいは酵素による加水分解したもので、ドライフードの嗜好性を向上させるため出来上がったフードの表面にスプレー処理されています。ドライフードをふやかしたときに表面にあぶら浮きがあったり、紙などではさんだときにあぶらが染み出てくるのはこのためです。脂肪分は空気に触れると酸化しやすいので防腐剤が入っているとはいえ開封後はしっかりと封をして涼しい場所で保管しなければならないのも納得できますよね。フードのにおいや色が変わっていたりしたら要注意です。
 また、「ビートパルプ」「乾燥セルロース」といったものは食物繊維のことで、ただ単にかさを増すために入っているものから、腸の健康を考えてあるものまで様々です。
 炭水化物源としては「米」「コーン」「小麦粉」などが中心ですが「乾燥トウモロコシグルテン粉」というのもあります。これはコーンから胚芽やでんぷんを処理して精製して残ったものを乾燥させたものです。小麦粉やグルテン粉など精製の度合いの大きいものほど食後の血糖値があがりやすいため、糖尿病などの疾患がある場合には好ましくないと考えられます。
 実際本当に何が入っているかははっきり言って、そのフード会社を信じること、実際与えてみた場合の糞便の量や健康状態で判断するしかないと思います。ただ食餌アレルギーなど疾患と食材が関連することも多々あるので、普段から与えている食餌の材料はしっかりと吟味する。フードを変えたときには健康状態や材料、そのフードを食べていた時期など気が付いたことをメモしておくと役立ちます。
 次回は食餌の与え方について考えてみましょう。

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