体重管理の重要性

 近年犬や猫の肥満が増加し、問題となっています。肥満は単に太っているというだけではなく一歩間違えればそれは「病気」としてとらえられ、治療が必要となってきます。なぜなら「肥満は万病の元」。糖尿病、心臓疾患、関節疾患をはじめ様々な疾患の原因となります。また体内に取り込まれた、あるいは体外に排泄されなければならない毒素や過剰なホルモンはみな脂肪に蓄積されます。また、投薬量が増える、麻酔に時間がかる、麻酔薬が多く必要になるなど、身体にとっていいことはありません。

 犬や猫の体重が適正かどうかを判断する基準としてボディーコンディショニングスコア(BCS)があります。これは5段階に分けられており、3を適正とし、4は太りぎみ、5は肥満、2はやせ気味、1はやせすぎといったような判断の基準とします。ところが飼い主はBCSが3だと感じている多くの犬や猫の実際のBCSは4だと言われています。体重管理できない理由には、食餌やおやつの与えすぎ、運動不足、低品質なフードの給与などがあげられます。特にドライフードはどれも同じに見えますが、それぞれのフードによりエネルギー濃度が異なるため、以前は1カップだったからこのフードも...と与えているとエネルギーに過不足が生じることがあります。また同じ1カップでも飼い主様の性格により実際に軽量してみるとかなり多く与えていることがよくあります。質の低いフードの場合は、たくさん食べないと身体に必要なたんぱく質が十分に摂取できないため給餌量が高品質なフードよりも多く指示してあることが多いのです。そのため余剰エネルギーが生じ、「愛犬は常におなかをすかせているのに太り気味」といったようなことが生じます。

 最近の肥満の研究で高タンパク、高食物繊維で構成されたフードは満足感が高く、また減量に効果的であることが分かっています。一般的な維持期用フードのタンパク質が23%前後であるのに対してそのようなフードはタンパク質が成長期用不フードよりも高い35%以上だったりします。タンパク質は満足感だけではなく、基礎代謝をあげるために必要な筋肉にも重要です。よって、全体に低エネルギーにしただけのフードではなかなか思うように減量ができないのが現状です。ただし、タンパク質の摂取量が極端に多い状態が長く続いた場合の肝臓にかかる負担も考えられるので、このようなフードは減量計画に従い利用した方が良いでしょう。

 単純に食事量を減らすことは、必要な栄養が不足するだけでなく、愛犬にストレスを与えます。すると身体は減らすどころか溜めるように働くため減量は思うように進みません。食事前に少量の鶏またはサーモンを与えた場合食事に対する満足感が高かったという研究もあるので、空腹によるストレスを感じないようにする工夫も大切です。

 また、「やせている犬は、体重の重い動物に比べ胃が空になる、食べ物が消化管を通って排泄されるのにかかる時間が長かった」という報告もあります。さらに、肥満は身体の働きにおいて伝達係であるホルモンのバランスも狂わせるため、様々な疾患を起こす可能性も高くなります。 身体自らが正常に働くことができるよう、2011年の誓いに「愛犬の体重管理」はいかがでしょうか?「愛犬と一緒に減量競争!?」もいいかもしれませんが.

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