「愛犬はベスト体重!」・・・に見える?

 もう夏はそこまで来ています!この時期、ダイエット業界は花盛り。それもそのはず、人は薄着になれば、冬の間隠されていた余分な脂肪が目に付きます。一方で愛犬はどうでしょうか?ほとんどの犬種は季節に応じてアンダーコートが生え変わるため、被毛の多い犬種は冬よりもほっそりとみえたりします。とろこが、飼い主様の目には「プラスマイナスゼロ」の発想からか、被毛の変わりに脂肪がついていても全体として「見た目」が同じだとあまり気にならないのでしょうか?
 先日、イギリスのペットフード工業会でこのような報告が発表されました。「3匹に1匹は肥満であるにもかかわらず、愛犬を肥満だと感じている飼い主様は10%以下ある」というものです。そしてその原因はペットフードの給餌量にあると指摘しています。実際にペットフードの給餌量は計算により分析してみると、実に様々で、すべてのフードが同じ基準にもとづいて、適正だと考えられる給餌量を提示しているわけではありません。よって、たとえ同じ目的で作られたフードであっても、それぞれ給餌量は異なります。しかし、多くの場合、同じ目的の異なるメーカーのペットフードを使用するときに、飼い主様は「前のフードもこのくらいだから、今回もこれくらいかな」といった感覚であたえることが多いようです。一方で、「ラベルの給餌量に従い与えているのに太る」といった場合も当然あります。この原因は、ひとつは「飼い主様の性格」です。ペットフードの給餌量は「〜g」と示されていますが、実際に軽量する飼い主様は少なく、「目分量」で与えます。この目分量、人の食べ物とドッグフードでは大違い!特にドライフードは水分含有量が6~10%と少ない分、栄養とエネルギーがギュッと凝縮されており、「たったの10粒」の違いが「大きなエネルギー」の違いなのです。一方で、その違いは見た目ではわかりません。また、ペットフードの給餌量は、洋服でいえば「既製服」のようなもの。「一般的にはこのくらい」とういう量なのです。既製服はどこかぴったりしないところがあるように、食事というのも「個体」に適していなければ適正体重は維持できません。
 先日とてもかわいいサマードレスをきてお散歩中のワンちゃんに会いました。飼い主様によれば、服を着せている理由は「年をとって、毛艶もなくバサバサとした上に、毛が伸びなくなってみっともないから洋服で隠しているの」といって、めくってくださったサマードレスの下にみたもの。それは薄くなった被毛と「たっぷりの脂肪」でした。おそらく被毛が薄くなっているの原因は高齢だけではないでしょう。
 人間というのは「見た目」に左右される動物。言い換えれば「見た目にごまかされる」動物なのでしょう。「なぜ」そうなったかを考えるよりも見たくないものは「隠す」という方向へ意識が働くのでしょうか。もちろんそれで問題が解決することも多くあります。しかし、愛犬の肥満は「万病の元」。見た目の裏に隠されている原因を考えてほしいと思います。
 「肥満になったのは飼い主様の責任、病気を背負うのは愛犬の責任」。そんなの不公平だと感じませんか?

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