子犬の食事ってどのくらい? パート2

さて、今回は前回に引き子犬の軟便や下痢の原因となるフードの「与えすぎ」がなぜ起こるのかについてお話しします。

 最初にこのようなトラブルがあるのは子犬を家族に迎えたころです。子犬は新しい環境に慣れるまでストレスを感じ、このストレスは消化器官に影響を与えるからです。そのため最初はペットショップで与えていた食事と同じものを同じ量だけ、同じ形状で与えるのがベストです。そうすることで環境の変化を少なくし、子犬を新しい環境に早く適応させることができます。

 子犬は毎日成長して体重が増えていきます。食欲も旺盛で、もっと食べたいと催促します。小型犬は生後4カ月前後で、大型犬は生後5か月齢前後で成犬予想体重の約1/2になるとされています。そのためこの時期までの子犬の体重増加率は、それ以降よりも急激であり、そのため給与量は成長期のなかでは最も多くなっています。

 次の成長段階は4~5か月齢以降です。この時期は人間でいえば思春期から一気に大人へとかけあがる時期です。思春期はよく食べますが、大人になるに従い必要なエネルギー量が減るように、成犬になるまでに徐々に食事量を減らしていきます。ところが、人間である飼い主にとってまだまだ「赤ちゃん」というイメージが強く、この時期に上手に食事量を減らせない場合が多いのです。ところが本来は減らさなければいけないので、4~5か月齢以前のように体重増加に伴い、食事量を増やしていると生じるのが、軟便や下痢のような消化器症状が生じます。消化しきれなった未消化物が便中にでてしまっているだけならばまだいいのですが、これはパート1でも書いたように腸内細菌叢を乱す原因にもなります。腸内細菌叢には栄養吸収のほか、腸内環境や免疫力にも関わっていました。よって、この時期にこの過ちを見逃すと、まだまだ成長しなければならない時期に成長が滞ってしまうのです!

 では、そのくらい減らせばいいのでしょうか?それぞれのラベルの給与量を目安に、便と体重増加および体型が適度な状態を保てるように調整をしていくのが最も簡単です。ラベル表示を見るとこの時期を境に食事量が減っているのが一般的です。その後は小型犬では半月ごと、大型犬では1ヶ月ごとを目安に体重が一定になってくるころまでに食事量を10%程度ずつ減らしていきます。小型犬は8か月、大型犬では12か月ころが目安です。この時期に上手にフードを減らすことができないと、犬に食ムラが生じ、かつ無理やり食べさそうとした結果、便の調子が悪いといったことが生じます。さらに、子犬が食べないのはおかしいと感じる飼い主様は何とか食べさせようと、主食以外の食べ物の量が多くなったりします。このようなことを繰り返していると、犬は健康な身体を作れないばかりではなく、偏食になることが多くあります。この時期に偏食癖をつけると後の食事矯正が大変になることも知っておくとよいでしょう。

 そして、成長期仕上げの段階です。小型犬は12か月、大型犬は1年半~2年を目安に成犬と同じ給与量へと減量し、2週間くらいをかけ、今度は成犬用フードへと移行をします。この時期に去勢や不妊手術をした場合は必要なエネルギー量は、そうでない場合よりも10~20%減らすのが一般的です。子犬用フードと成犬用フードは見た目が同じですが、栄養構成やエネルギー量がことなるため移行に時間を十分にかけないとここでも軟便や下痢の可能性が!!
 このように、成長期の子犬への食事の与え方は、多少手間がかかりますが、この時期の確実な犬育てが将来の健康につながるので、しっかりと育てていきましょう。また、各メーカーにより給与量の指示量や方法がことなるため、ラベルをしっかり読んでくださいね。

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