安全な食べ物とは?

 ここ数年の食に関連する事件をきっかけに、人々の食の安全に対する意識が高まりました、それに応じるように、人の食品業界だけではなくペットフードでも様々な改良が行われてきました。当然、飼い主様のペットフードやおやつの選び方にも変化が生じてきたそんな頃、「食」に対するこんな質問がありました。それが、「安全な食べ物ならば、好きなだけ食べていいですか?」

 もし、この質問が「好きなだけ食べてもいいですか?」だけであれば、「好きなものだけでは栄養バランスが崩れるし、病気や太る原因にもなるから駄目です」と即答できると思います。ところが、「安全な食べ物なら」という前提があったとき、どのように考えますか?今回はこの「安全な食べ物」とは何をいうのかについて考えてみましょう。

 「安全かどうか」でまず浮かんでくるのが、様々な食品添加物だと思います。化学的食品添加物は、確かに身体に害があるものが多くあるのは事実です。常に新鮮で無添加な食品が入手可能であれば、それにこしたことはありません。しかし、そのような食品もまた「生きている」ので、水や酸素が必要です。言い換えれば水や酸素の影響を受けないように保存しない腐敗やカビの原因となり、安全だった食べ物は危険な食べ物へと変化してしまいます。また、このような食品だけを常に入手するのにはコストもかかります。「生きることは食べること」。まずは、継続して入手できなければ、あるは食生活だけが生活費の大半を占めるのでは、食品事態は「安全」でも、生活にとっては「危険な食べ物」になってしまいます。つまり、「安全な食べ物」とは、「経済性においてバランスがとれ、継続可能な食品」であることも大切な要素です。

 次に、この質問の意図するところですが、「危険な食べものは沢山たべてはいけない。だから安全な食べものは沢山食べられる」という逆転の発想に基づいたものではないでしょうか。ところが、前者はまんざら間違ってはいませんが、後者は間違いです。なぜなら、身体は食べたものをただ通過させているわけではないからです。食べたものは消化器官で消化、吸収をして肝臓で代謝を行います。代謝とは食事から得た様々な栄養素を身体全体の細胞に必用なかたちに作り変えたり、不必要なものを分解したりする働きです。さらに、食事からとった栄養素の中には、身体に害を与えるものもあり、そのような栄養素を安全な物質に作り変えて尿中へ排泄できるようにする「解毒」の働きもあります。つまり、肝臓は常に稼動を要求される工場のような場所なのです。そう考えると、工場であるからには、「そこで扱うことのできる分量には限度があること」「使いすぎれば機械が早く駄目になること」が分かりますね。つまり、食べたいだけ食べれば、それだけ消化器官や肝臓といった臓器に負担がかかり、ひいては腎臓や心臓などにも影響を及ぼすことになります。この観点から考えれば、「安全なたべもの」」とは、「個々の消化、吸収、代謝能力に適した、身体が利用できる」食べ物だと考えられます。

 このように考えると「安全な食べ物でも食べたいだけ食べては身体に負担がかかる」ということが分かりますね。会社が適材適所で効率よく稼動するように、身体にもまた適材適所のたべものが必用です。

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